キャッシュアウトとは?事業承継における画期的な手法について

まいどおおきに!Rimpactの中西です。ご覧いただき誠にありがとうございます!

本日は、先日の事業承継におけるスクイーズアウトに引き続き「キャッシュアウト」についてのご説明をさせていただきます。

まずは、キャッシュアウトのご説明の前に会社の経営権を考える上で最も重要になる株式シェアについて、簡単にご説明させていただきます。

株式シェアは、会社全体の株式の内、保有割合によって議決権つまり経営参加できる権利が変化していきます。

その中でも、株式シェアを2/3以上保有していると、株主総会の特別決議を単独で成立させることができます。特別決議とは、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上にあたる多数をもっておこなう決議のことです。

特別決議では、①株式併合、②監査役の解任、③資本金の額の減少、④定款の変更、⑤事業の全部の譲渡、⑥解散、など事業を継続する上でとても重要な事項の決議をおこなうことができます。

以上などから、株式シェアの保有割合が会社の経営に大きな影響を及ぼします。

そのため、事業承継を行う上で、株主構成の整理が重要になることはもちろん、株主が相続を迎えた場合などに相続人から買い取り請求がきたりするなどの問題が発生する可能性があるため、株式シェアを100%に近い保有率にすることはとても重要になります。

そこで、先日お話させて頂いた、少数株主排除をおこなうことが有効になってきますので是非ともご一読ください(^^)

はじめに

まずは、キャッシュアウトについて詳しくお話させていただきます。

キャッシュアウトとは、2015年5月に「大株主が少数株主を正攻法で排除できる制度」として施行されました。

具体的にお話しすると、自己および完全子会社と合算して発行済株式数の90%以上を保有する株主(特別支配株主といいます)が、他の株主に対してその保有する株式の売り渡しを請求できる制度になります。

この場合、特別支配株主は他の株主に対して全部の株式を売り渡すように請求することができますが、一部の株主だけを対象にすることができず、すべての少数株主に対して請求しなければならないといった注意点がございます。

この制度を、前述の通り「キャッシュアウト」と言い、過去に従業員や友人・知人に株式対策として付与した少数株式を強制的に取得する方法になります。

スクイーズアウトとの違い

先日お話させていただきました、スクイーズアウトとは?事業承継における重要な手法でもご説明した通り、手間や訴訟リスクを抱え、全部取得条項付種類株式を使用し特別決議にて行うスクイーズアウトとは異なり、90%以上の株式保有という条件は厳しいですが、取締役決議だけで決議できるキャッシュアウトは画期的な制度と言えます。

また、その他にも「株式併合」「株式交換」などのスクイーズアウトの手法がございますが改めてご説明させていただきます。

キャッシュアウトの手続き

キャッシュアウトの手続きは、まず特別支配株主(90%以上株式を保有)は、株価/株価の算定方法/取得日などを決定し、対象会社に対してその通知をおこないます。

会社の取締役会が承認することで初めてこの請求をおこなうことができるようになります。

そして、会社は特別支配株主にその旨を通知するとともに、取得日の20日前までに売渡株主に上記の事項を通知します。

以上により、売渡請求の効果が発生し、取得日には株式移転が完了する流れになります。

上記のように、この制度のもう一つのメリットは20日間あまりで手続きが完了するといったスピード感にあります!

注意点

この制度は買取価格についても特別支配株主が決定することができますが、この買取価格に不満がある売渡株主は裁判所に価格決定についての申し立てができるようになっています。

しかし、その場合であっても株式の買い取りの効力は取得日に発生しており、買取価格の問題が生じるのみで株式移転には影響がございません。

また、特別支配株主は、法令違反や著しく不当な対価などの場合には差し止めの請求も行うことができる他、取得無効の訴えも創設されたため、「権利の濫用」にも歯止めがかかっています。

まとめ

このキャッシュアウトの制度は、90%以上の株式シェアを持つ特別支配株主であっても、これまでは「特殊決議」(株主の頭数の半数以上)や「株主全員の同意による決議」も存在していたため、株主総会でのすべての決議が通せるわけではなかったので、この制度により事実上の100%の完全支配株主になることができるようになりました。

キャッシュアウトにより、株主構成の整理や全ての議決権の保有を行ったうえで、後継者に事業承継をおこなう方法を考えることで、よりスムーズな事業承継が可能になります。

また、法律に則って手続きを厳格におこなうことで事業承継においても画期的な手法のひとつになるといえます!

弊社では、株式シェアなどに関するご相談も承っております!

お気軽にお問い合わせください(^^)

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